コラム・
インフォメーション
-
配偶者の海外勤務・海外出張中の不貞調査 ─ 距離を越える調査の組み立て
浮気・不倫の調査のご相談のなかには、配偶者が海外勤務・海外出張中という、距離の壁が極めて大きい案件もあります。配偶者が海外駐在で長期にわたって日本を離れている、頻繁に海外出張に出かける、海外での研究や留学で家を空けている。こうした状況下での不貞関係を、どのように確認していくか。これは、調査会社にとって最も難易度の高い領域のひとつです。
2001年からこの仕事を続けるなかで、海外関連の案件は、国内の単身赴任案件のさらに難しいバージョンとして向き合ってきました。本稿では、調査会社の構えと組み立て方を整理します。
海外勤務案件の独特の困難
配偶者の海外勤務中の調査には、国内の不貞案件とは段違いの困難があります。物理的距離が極めて大きく、日本側から日常の様子を観察することがほぼ不可能であること。現地での調査を行うには、現地の調査会社との連携が必要になり、費用も期間も大きく嵩むこと。現地の法律や調査業に関する規制が、日本とは異なる場合があり、調査手法の選択肢が限定されることもあります。加えて、ご依頼者ご自身が日本で日常生活を続けながら、遠隔で配偶者の動向を案じておられる状態です。心理的な負担も、国内の単身赴任案件とは比較になりません。
日本側でできること
海外勤務中の配偶者の調査でも、日本側からできることはあります。配偶者が帰国した際の動向の観察。共有のクレジットカード明細や共有口座の動きなど、家計から生活実態を推測すること。配偶者が日本に残しているものから生活パターンを推し量る作業。海外との連絡頻度の変化、SNSの公開情報の様子、ご家族への報告内容の変化など、ご依頼者の側で観察できる範囲の情報を整理することも、調査の出発点になります。
現地調査会社との連携
海外現地での本格的な調査が必要な場合、現地の調査会社との連携が不可欠になります。ただし、いくつかの実務的な課題があります。現地の調査業の規制と業界慣行、信頼できる現地パートナーの確保、言語の壁を越えたコミュニケーション、嵩む費用と依頼者の予算との兼ね合い。「海外でも何でも調査します」という言い方を、私たちはしません。実際にできる範囲、現地パートナーを通じてできる範囲、無理がある範囲を、誠実に整理してお伝えする姿勢を貫いています。
「帰国時の調査」を中心に組む
現実的に、海外勤務中の不貞調査で最も効率的なのは、「配偶者が日本に一時帰国した時の調査」を中心に組む方法です。長期休暇や年末年始、ご家族の事情での緊急帰国など、配偶者が日本に滞在する機会を狙って、集中的に調査を入れる。日本側の通常の運用で対応できますので、費用も期間も読みやすくなります。一時帰国中の配偶者は、ご家族との時間を過ごす一方で、別の予定が入る可能性もあります。日本国内に相手方がいる場合、この帰国期間に会いに行く動きが見られることがあります。
海外出張の頻度と現実
配偶者が海外勤務ではなく、頻繁な海外出張を理由に家を空けるケースもあります。「来週から一週間、出張」「ヨーロッパで会議があるので一週間」。こうした出張が頻繁にあり、本当に出張なのか別の予定が組まれているのかを疑われる場面が、調査の入口になることがあります。出発地点と帰着地点の動きを日本側で押さえることで、出張そのものは事実かどうかが、ある程度確認できます。
「海外で別の家庭を作っているのではないか」
海外勤務中の配偶者の調査で、ご依頼者から伺うご相談のなかには、「海外で別の家庭を作っているのではないか」というご懸念もあります。長期にわたる海外勤務のなかで、現地の方と関係を持ち、二重生活に近い状態を続けている。これは海外案件で稀に見られる構造ですが、確認には特に慎重な調査が必要です。費用も期間もかかる調査ですので、「どこまでの確認が必要か」「どこまでの予算が現実的か」を慎重に擦り合わせて進めます。
海外勤務の終了を待つ
海外勤務中の不貞調査で、もうひとつの選択肢として「海外勤務の終了を待つ」というアプローチがあります。海外勤務には、多くの場合、終了の見通しがあります。帰国後の生活が始まれば、日本国内での通常の調査が可能になります。「待つ価値のある待機」を選ぶことが、結果としてご依頼者の利益につながる場合があることを、ご一緒に検討します。
結びに
配偶者の海外勤務・海外出張中の不貞調査は、距離の壁、現地調査の難しさ、費用と期間の負担、心理的な消耗など、いくつもの困難を含む案件です。日本側でできること、現地調査会社との連携、帰国時の調査、海外勤務終了後の調査。それぞれの選択肢を、ご依頼者の事情と予算に応じて組み合わせます。何でもできるとは申し上げず、現実的にできる範囲で誠実に最善を尽くす。これが、距離を越える調査における私たちの構えです。