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マッチングアプリ案件の調査設計 ─ 「会う瞬間」を逃さない構え
マッチングアプリを起点とした不倫案件は、調査の段階から従来とは違う組み立てが必要になります。相手方の特定が初期段階では難しく、関係の進行が速いため観察に時間をかけにくい。こうした特徴に合わせて、組み方を変えます。
2001年からこの仕事を続けるなかで、案件の入り方が変われば調査の組み立て方も変えなければならない、と学んできました。本稿では、その考え方をお伝えします。
従来とは順序が変わる
従来の不倫調査では、まず相手方の存在を見立て、その特定を進めながら不貞行為の認定に向かう、という順序が標準的でした。アプリ案件では、この順序が必ずしも当てはまりません。相手方を最初から特定しようとすると、アプリの中の情報を得ようとして、ご依頼者の側に法的なリスクが生じる恐れがあるからです。どう順序を組み替えるかは、案件ごとに、ご依頼者の法的リスクを抑えることを最優先に設計します。
「動きそうな日に動ける」体制
アプリ案件では、相手方と会うまでの期間が短く、関係の進行も速いため、「動きそうな日に確実に動ける」体制が重要になります。長い観察期間を経て本番、という従来の流れではなく、ご依頼者から予定の連絡が入った時点で即応できる体制を整えておく。このため、ご依頼者と私たちのあいだで、連絡の取り方とタイミングを最初に取り決めておきます。即応できるかどうかは、事前の準備でほぼ決まります。
デジタル痕跡には踏み込まない
アプリ案件のご相談で、しばしば「アプリの中の情報を取れないか」と質問されます。正直に申し上げると、これは調査会社の側で勝手に取れるものではありません。配偶者のスマートフォンを無断で操作することは、ご依頼者ご自身であってもリスクが伴います。アプリの運営会社から情報を取り寄せることも、通常の調査会社の権限ではできません。私たちの守備範囲は、あくまで現場での観察と記録です。踏み込まない領域を明確にすることが、結果としてご依頼者を守ります。
ご依頼者の目的に合わせて組む
アプリ案件では、相手方が頻繁に入れ替わる可能性もあるため、ご依頼者の目的——慰謝料請求なのか、離婚協議なのか、ご自身の判断材料なのか——に応じて、組み立てを変えます。一度の素材を決定打として扱うか、次の参考材料とするか。同じ相手方との複数回を見るのか、全体像を記録するのか。目的が定まっていれば、組み立てが見えやすくなります。
結びに
マッチングアプリ案件の調査は、従来の前提が当てはまらない、現代型の案件です。出会いの構造が変われば、調査の構造も変える。デジタルには踏み込まず、現場での観察と記録に徹し、ご依頼者の法的リスクを守りながら目的に合わせて組む。この更新を続けることが、調査会社の現役性を支えるのだと考えています。