コラム・
インフォメーション
-
「妻が稼いだお金を浪費している」と気づいた時 ─ 男性被害者の経済的損害
浮気・不倫の調査のご相談のなかには、男性のご依頼者から「妻が、自分が稼いだお金を、別の男性のために浪費しているのではないか」というお話を伺うケースがあります。日々懸命に働いて家庭を支えてこられた方が、稼いだお金がご家庭やお子様のために使われていない、あるいは別の方への支出に流れている、という現実に直面される。これは、女性が経済的損害を被るケースと同じく、依頼者を深く傷つける案件です。
2001年からこの仕事を続けるなかで、男性のご依頼者からのこうしたお話も、女性のご依頼者と同じ重みで受け止めてきました。最初に申し上げておきたいのは、男性のご依頼者を、私たちは決して責めません。「家計を妻に任せきりにしていたから」と、ご自身を追い詰めないでください。誠実に働いて家庭を支えてこられた方が、信頼関係の前提を裏切られたというのが事実です。
男性が「気づきにくい」構造
男性のご依頼者の特徴として、家計の動きに気づきにくい構造があることが、しばしば指摘されます。ご家庭によっては、家計の管理を配偶者にすべて任せていらっしゃる方が少なくありません。お給料は口座振込で、生活費の出入りは配偶者が管理し、ご自身は決まった額のお小遣いだけを使う。こうしたご家庭では、家計全体のお金の流れが、ご依頼者の側からは見えにくくなります。家計管理を委ねることそのものが悪いわけではありません。けれども、信頼関係が崩れた時に、お金の動きを把握する手段がないという状況は、ご依頼者の側を不利な立場に置きやすい構造を生みます。「妻に任せきりだったから、自分が見落としていた」と、ご依頼者ご自身を責めないでください。家計を委ねることは、配偶者への信頼の表れです。
「浪費」に気づくきっかけ
男性のご依頼者が、配偶者の浪費に気づかれるきっかけには、いくつかのパターンがあります。家計の不自然さに気づく。住宅ローンの引き落としができていなかった、子どもの習い事の月謝が滞納されていた、税金の支払いが遅れていた、生命保険が解約されていた。本来であれば滞ることのないはずの支払いの遅れから、お金の流れの異変に気づかれます。配偶者の生活水準の変化。新しいブランド品を身につけるようになった、急に高価な車に乗り換えた、頻繁にエステや美容院に通うようになった、不自然に高額な習い事を始めた。ご家庭の家計の規模から見て不自然な支出が、配偶者の周りに集中している。共有口座や家族カードの動きの不審さ。明らかに家族のものとは思えない引き出し、特定の店舗での連続した利用、複数のATMからの少額引き出しの繰り返しなど。これらのサインが複数重なっている時、配偶者がご依頼者の稼いだお金を、別の用途に流している可能性が浮上します。
お金の流れの整理 ─ 男性ご依頼者の場合
ご依頼者ご自身の権限で確認できるお金の動きを、まず整理していただきます。ご自身名義の口座の入出金、ご依頼者がご自身で契約されているクレジットカードの明細、住宅ローンや車のローンの返済状況、税金や社会保険料の納付状況。これらは、ご依頼者の側で確認できる情報です。配偶者個人名義の通帳を勝手に見ることは、ご依頼者の側にもリスクが生じる行為です。ご家庭の共有財産の管理状況については、ご夫婦の財産関係に関わる正当な利害があるとされる場面もあります。詳細は、必ず弁護士の先生にご確認ください。男性のご依頼者の場合、ご自身がご家庭の主たる稼ぎ手であり、稼いだお金が家庭の財産として配偶者に管理されている、という構造が一般的です。この構造のなかで、ご自身が確認できる範囲と、確認できない範囲を整理することが、調査の出発点になります。
不貞関係への支出としての浪費
浪費が、単なる個人的な楽しみのためのものなのか、不貞関係のための支出なのか。これが、調査の見極めの重要な論点になります。不貞関係のための浪費には、いくつかのパターンがあります。相手方の男性と一緒に過ごすための飲食代、宿泊代、レジャー費用。相手方の男性への贈り物。相手方の男性への金銭援助や貸付。これらの支出は、配偶者の個人的な趣味や交際とは異なる、別の関係性のための支出として整理されます。家計の動きと、現場での観察を組み合わせることで、浪費の実態と不貞関係の有無の両方が、立体的に把握されてきます。
「お子様の生活」をまず守る
男性のご依頼者の案件でも、最優先で守るべきはお子様の生活です。本来、お子様の教育費、生活費、医療費、習い事の費用に使われるべきお金が、別の関係性のために流れている。これに気づかれた時の依頼者のお気持ちは、女性のご依頼者と何ら変わらない深さを持っています。ご相談を受けた段階で、まずお子様の現在の生活基盤がどの程度確保されているかを確認します。不足が深刻な場合、弁護士の先生に相談のうえで、生活費の確保のための法律的な手立てを検討する必要が出てきます。婚姻費用の分担請求、生活費の仮払い、財産の保全など、いくつかの選択肢があります。
弁護士の先生との早期連携
お金の動きが絡む案件では、弁護士の先生との連携を、調査の早い段階から始めることをお勧めしています。特に男性のご依頼者の場合、財産分与の準備、ご依頼者の稼ぎがご家庭の財産として築かれた経緯の整理、不当に流出した可能性のある財産の取り戻しなど、法律実務の専門領域での対応が重要になります。配偶者がさらに財産を動かしてしまわないよう、必要に応じて財産の保全手続きを取ることも、弁護士の先生のご判断のもとで検討されます。男性のご依頼者の場合、ご自身が主たる収入者であることから、財産分与の場面で、稼ぎへの貢献度がどのように評価されるかという論点もあります。これらは、弁護士の先生のご助言を仰ぎながら、慎重に進めます。
「お金の話」を口にしにくいお気持ちへ
男性のご依頼者から伺うお話のなかで、しばしば感じるのが、「お金の話を口にしにくい」というお気持ちです。「お金のことで離婚を考えていると思われたくない」「妻に渡したお金を取り戻したいなんて、男としてみっともない」「子どもに金銭問題を背負わせたくない」。こうしたお気持ちが、判断のためらいを生んでしまうことがあります。けれども、お金の動きを整理することは、ご依頼者がお金に執着しているからではありません。ご家族の生活基盤を守るため、お子様の将来を確保するため、そしてご依頼者ご自身の今後の人生のために、必要な作業です。「お金のことを口にする自分が嫌だ」と感じる必要は、まったくありません。誠実に働いて家庭を支えてこられた方が、その努力が裏切られた事実を直視し、立て直しのために動くこと。これは、ご家族の未来を守るための積極的な選択です。
結びに
男性のご依頼者が「妻が稼いだお金を浪費している」と気づかれた時、お金の動きの確認、お子様の生活の確保、弁護士の先生との連携、必要に応じた財産保全など、複数の領域にまたがる対応が必要になります。「男性だから経済的な被害は軽い」というステレオタイプは、私たちの現場では決して通用しません。お金で築かれた家庭の信頼関係が崩れた時の痛みは、男性も女性も等しく深いものです。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
-
女性被害者を支える専門家連携 ─ つくばで使える窓口
ここまでの記事では、女性のご依頼者が深く傷つかれるさまざまなケースについて、調査会社の視点から整理してきました。本稿では、こうしたケースで、ご依頼者を支える専門家のネットワークと、つくば近辺で活用できる相談窓口について、私たちが知る範囲でお伝えします。
2001年からこの仕事を続けるなかで、ご依頼者の人生を支えるためには、調査会社単独ではなく、複数の専門家と機関が連携することが不可欠だと、繰り返し実感してきました。本稿が、お一人で抱え込まないための、最初の地図になれば幸いです。なお、本稿で触れる制度や窓口は、私たちが把握している範囲のものです。最新の情報や詳細については、各機関に直接お問い合わせいただくか、お住まいの市町村の総合相談窓口でご確認ください。
弁護士の先生との連携
調査結果を実際の手立てに結びつけるためには、弁護士の先生のお力添えが欠かせません。慰謝料請求、離婚協議、認知請求、養育費の請求、別居や財産分与の準備、相手方からの請求への対応。これらすべてが、法律実務の専門領域です。女性のご依頼者の場合、女性の弁護士の先生のほうがご相談しやすいとおっしゃる方もいらっしゃいます。家事事件、離婚問題、DV案件、母子の権利に詳しい先生方も、各地におられます。
弁護士をどう探すかについては、以下のような窓口があります。茨城県弁護士会の法律相談、お住まいの市町村の無料法律相談、法テラスの民事法律扶助、各種の女性のための法律相談会。経済的にご事情がある場合、法テラスの民事法律扶助制度が活用できる場合があります。所得や資産の要件を満たせば、弁護士費用の立替制度などをご利用いただける場合があります。
心のケアの専門家
ご相談に来られる依頼者の多くが、深い心の負担を抱えておられます。眠れない、食欲がない、感情の起伏が激しい、何も手につかない、お子様への接し方が変わったように感じる。これらは、心が悲鳴をあげているサインです。心のケアの専門家には、臨床心理士、公認心理師、精神科医、心療内科医、家族療法の専門家など、いくつかの種類があります。それぞれに専門領域と得意分野が異なります。
つくば市内には、心のケアを担うクリニックやカウンセリングルームが複数あります。学園都市という性格上、心理学を専門とする方が多くおられる地域でもあります。最初の一歩として、お住まいの市町村の保健センター、保健所、女性相談センターなどでご相談されると、適切な専門家へのご紹介を受けられる場合があります。
女性相談センター・配偶者暴力相談支援センター
茨城県内には、女性のためのさまざまな相談窓口があります。茨城県女性相談センター、配偶者暴力相談支援センター、各市町村の女性相談窓口など、配偶者やパートナーとの関係でお困りの方、DVや暴言などでお悩みの方、生活全般のお悩みについて、専門の相談員の方が対応してくださいます。これらの窓口は、お話を伺うだけでなく、必要に応じて行政の各種支援、法的な手続きへの橋渡し、緊急時の保護施設のご案内など、複合的な支援に繋がる窓口になっています。電話でのご相談、来所でのご相談、いずれも可能な窓口が多くあります。匿名でのご相談も受け付けてくださる場合があります。
母子・父子・寡婦福祉相談
ひとり親家庭の方、ひとり親になる可能性のある方、お子様を一人で育てておられる方のための専門の相談窓口が、各市町村にあります。つくば市、土浦市、牛久市、龍ヶ崎市、守谷市など、各市町村の福祉課やこども家庭課、児童家庭課などの窓口で、母子・父子・寡婦福祉相談を担当してくださる相談員の方がおられます。生活費の心配、お住まいの問題、お子様の教育費、就労支援、各種の手当の申請。これらの実務的なお悩みに、専門の相談員の方が一緒に向き合ってくださいます。
児童扶養手当・各種給付金
経済的な支援制度として、まずご確認いただきたいのが児童扶養手当です。ひとり親家庭、または離婚協議中のご家庭、配偶者の生死が不明なご家庭などで、お子様を養育されている方を対象とした制度です。その他、ひとり親家庭等医療費助成、児童手当、児童育成手当(自治体による)、生活保護、住居確保給付金、各種の貸付制度など、お住まいの市町村で利用できる経済的支援は複数あります。すべての制度に共通するのが、「申請しなければ受けられない」ということです。窓口でご相談いただき、ご自身が該当する制度の申請を進めていただくことが、生活基盤を整える出発点になります。
保育・学童・教育の支援
お子様を育てながら働かなければならないご依頼者にとって、保育や学童保育の確保は極めて重要な課題です。保育園の入園、認可外保育施設、企業内保育、ファミリーサポート、お住まいの市町村による保育料減免、学童保育、放課後子ども教室、長期休暇中の支援。これらの制度がそれぞれの市町村で整備されています。つくば市と周辺の各市町村では、ひとり親家庭の方への保育や学童の優先入所が行われる場合があります。
婦人相談所・保護施設
緊急性の高いケース、つまり配偶者やパートナーからの暴力、つきまとい、生命の危険を伴うような状況がある場合、婦人相談所や女性保護施設による緊急の保護を受けられる場合があります。茨城県内には、こうした緊急保護の体制が整備されています。電話一本でご相談ができ、状況に応じて、当日中の保護に繋がる場合もあります。緊急性が高くないご相談についても、これらの窓口は丁寧に対応してくださいます。「相談していいレベルかどうか分からない」とお感じになる場合でも、まず連絡されることをお勧めします。
「相談すること」自体への抵抗を越えるために
多くのご依頼者から伺うのが、「専門家への相談自体に抵抗がある」というお気持ちです。知らない方にプライベートな話をするのが怖い。お役所の窓口に行くのは気が重い。弁護士の先生に相談するのは費用が心配。心のケアの専門家にかかるのは、自分が病気のような気がして抵抗がある。これらのお気持ちは、すべて自然なものです。けれども、相談しないで一人で抱え続けることのほうが、長い目で見るとご依頼者の人生への負担が大きくなることがあります。最初の一歩は、最も話しやすい窓口でよろしいかと思います。一度どこかにお話しすることで、次の窓口への抵抗感が下がります。
結びに
女性のご依頼者を支える専門家のネットワークは、ご自身で全部を組み立てる必要のあるものではありません。一つの窓口にご相談いただければ、そこから他の必要な窓口への橋渡しが進んでいきます。私たち調査会社も、その入口の一つです。調査の有無に関わらず、まずはご相談いただき、そこから必要な専門家へのお繋ぎを進めることもできます。お一人で抱え込まず、まずはどこかに、ご相談ください。必ず、あなたの歩みを支えてくださる方々がいらっしゃいます。
-
妊娠・出産後に彼が「逃げた」ケース ─ 行方調査と法的対応
妊娠を伝えた途端、あるいは出産が近づいた途端、相手の方が連絡を絶って姿を消す。出産後しばらくは連絡があったが、次第に途絶え、行方が分からなくなる。こうしたケースで取り残されるのは、お子様とご依頼者の二人です。お子様の認知も養育費も、肝心の相手と連絡が取れないままでは、何も進められない。先の見えない不安のなかで、ご依頼者は日々の育児を支えなければならない。
2001年からこの仕事を続けるなかで、こうしたご相談を伺うたびに、ご依頼者の置かれた状況の重さに、深く向き合ってきました。本稿では、相手が姿を消したケースで、ご依頼者がどのような選択肢を持ち、調査会社がどのような役割を果たせるかについて整理してお伝えします。
「姿を消した相手」を諦めない
ご依頼者が最初に直面される困難が、「もう諦めるしかないのではないか」というお気持ちです。連絡が取れない、住所が分からない、勤務先も変えられた、SNSもブロックされた。手がかりが何もないまま時間が経ち、「相手を見つけることは不可能なのではないか」と思い詰めてしまう。
けれども、まず「諦める必要はない」とお伝えしています。相手の方が日本国内にいらっしゃる限り、ご家族の存在、生活の痕跡、勤務先や活動の手がかりは、必ずどこかに残っています。これらを丹念に辿ることで、現在の所在を絞り込んでいくことは、多くの場合可能です。行方調査は、当事務所の重要な専門領域のひとつです。決定打となる情報が手元になくても、ご依頼者から伺える小さな手がかりを積み上げていくことから始めます。なお、具体的にどの手がかりからどう絞り込むかは、当事務所の経験そのものですので、ここでは詳細を控えます。
海外に出ている可能性への備え
行方を絞り込む過程で、相手の方が日本を離れて海外に出ている可能性が浮上することもあります。仕事の都合で海外駐在になった、出身国に戻った、別の国に渡った。こうした場合、日本国内の調査だけでは追えなくなる場面があります。海外に出ていらっしゃる可能性が高い場合、弁護士の先生のご助力のもとで、出入国記録の取り寄せなど、法律的な手続きを通じた確認に進むことが現実的な道筋になります。
居所が見つかった後の「最初の動き」
相手の方の現在の所在が絞り込まれた後、ご依頼者の側からどのように動くかが、次の重要な判断になります。ご依頼者ご自身が、相手の方に直接連絡を取ったり、自宅を訪ねたりすることは、原則としてお勧めしません。長く逃げ続けてきた相手の方は、ご依頼者からの接触に対して、さらに態度を硬化させる可能性があります。また、ご依頼者の側にも、感情的な負担と法律的なリスクが伴います。弁護士の先生からの内容証明郵便を、最初のご連絡として送るのが、実務上の標準的な道筋になります。「お子様の認知と養育費について話し合いを求める」「期限を区切って回答を求める」という形で、法律実務の枠組みのなかで連絡を始めます。これにより、相手の方も「ご依頼者が法的手続きに進む意思がある」ことを理解し、応答せざるを得なくなることが多くあります。
認知請求の手続きへ
相手の方が話し合いに応じない場合、認知請求の法的手続きに進むことになります。家庭裁判所での認知の調停、調停が成立しない場合の認知の訴え。これらは、お子様と相手の方のあいだに法的な親子関係を確立するための、正式な手続きです。調査会社の側からは、相手の方とご依頼者の交際の事実、お子様を授かった時期、相手の方がお子様の存在を認識していたことを示す資料(過去のやり取り、写真、共通の知人の証言など)の整理を、お手伝いできる範囲でいたします。最終的な手続きの進行は、弁護士の先生のご担当です。私たちは、調査と書類整理の専門家として、法律実務を支える素材を整える役割を果たします。
養育費の確保と回収可能性
認知が成立した後、養育費の請求と、実際の回収の問題に進みます。養育費の金額の算定、支払い方法の合意、合意できない場合の家庭裁判所での審判。これらは、法律実務の専門領域です。そして、判決や審判で金額が決まっても、相手の方が実際に支払うかは別の問題です。お給料からの天引き、預金の差押え、各種の強制執行の手続きが必要になる場合があります。相手の方が再び姿を消す、勤務先を変える、財産を隠す。こうした事態に備えて、相手の方の現在の経済状況と動きを継続的に確認することも、調査会社の役割となる場合があります。長期にわたって、お子様の将来を支えるための仕組みを、複数の専門家と一緒に組み立てていきます。
「養育費保証」「立替制度」の活用
最近では、養育費の支払いが滞った場合に備えた、養育費保証のサービスや、自治体による養育費の立替制度なども、徐々に整備されてきました。養育費保証は、民間のサービスとして、養育費の支払いが滞った場合に、保証会社が立て替えて支払い、後で相手の方から回収するという仕組みです。利用には一定の条件や費用があります。自治体による立替制度は、お住まいの市町村によって整備状況が異なります。これらの制度について、お住まいの市町村の福祉課や、母子相談の窓口でご相談いただけます。
行政・福祉の支援との並行
行方の特定や認知の手続きと並行して、ご依頼者ご自身とお子様の現在の生活を支えるための、行政の支援制度の活用が極めて重要になります。児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成、保育料減免、就学支援、住宅支援、各種の生活支援。これらは、お住まいの市町村の窓口でご相談いただけます。法律手続きには時間がかかります。その間、お子様の生活が滞ってしまわないよう、活用できる支援はすべて活用していただきたい、というのが、私たちの願いです。
「諦めなければ、道はある」
最後に、本稿で最もお伝えしたいことを書き留めておきます。相手の方が姿を消した時、ご依頼者は最大の絶望を感じられます。けれども、長くこの仕事を続けてきて、「諦めなければ、必ずどこかに道がある」と申し上げられます。行方調査の専門家、家事事件に詳しい弁護士の先生、行政の支援窓口、心のケアの専門家。これらの方々が、ご依頼者の歩みを支える土台になってくださいます。お一人で全部を抱える必要はありません。それぞれの専門家に、それぞれの役割を担っていただきながら、お子様の将来とご自身の生活を、一歩ずつ整えていきます。時間はかかるかもしれません。けれども、確実に前に進める道は、必ず開けてきます。
結びに
妊娠・出産後に相手が姿を消したケースは、ご依頼者にとって最も困難な状況のひとつです。行方の特定、認知の請求、養育費の確保、ご自身とお子様の生活基盤。すべてが同時に課題として迫る、過酷な時期です。長くつくばで仕事を続けてきた者として、こうしたご相談に、誠実に向き合います。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。複数の手立てを組み合わせて、必ず道を開いていきましょう。
-
妊娠・出産後に「妻帯者だった」と判明したケース ─ 信頼を裏切られた後の歩み
最も心を痛めるご相談のひとつが、お子様を妊娠あるいは出産された後で、お相手の方が実は妻帯者だったと判明されるケースです。誠実に交際してこられたつもりが、実は相手の方には別の家庭があった。「いずれ結婚する」「今は事情があるが必ず一緒になる」と言われていた言葉が、すべて嘘だった。気づいた時には、すでに新しい命がご自身のもとに生まれている、あるいは生まれようとしている。
2001年からこの仕事を続けるなかで、こうしたご相談を伺うたびに、ご依頼者の苦しみの深さを思います。最初に申し上げます。この状況に陥ったことは、ご依頼者の責任ではありません。「もっと早く確認すべきだった」「自分が騙されやすかった」と、ご自身を責めないでください。誠実に向き合ってこられた方が、信頼の前提を裏切られただけです。
「気づいた瞬間」の混乱
お相手が妻帯者だったと気づかれた瞬間、ご依頼者の頭の中では、いくつもの感情と疑問が一度に押し寄せてきます。これまでの交際で交わされた言葉のすべてが、別の意味を持つように感じられる。お子様を妊娠したと伝えた時の相手の反応、出産を一緒に迎えてくれた時の表情、これからの生活を語り合った時間。それらすべてが、何だったのか分からなくなる。この時期は、判断を急がない方がよいと、お伝えしています。気づいた直後に大きな決断をすると、後で揺り戻しが来ることが多くあります。まずは、信頼できる場所でお話しすることから、ゆっくり始めていただきます。
事実関係の確認 ─ 「本当に妻帯者なのか」
ご依頼者が「妻帯者だったらしい」と気づかれるきっかけはさまざまです。相手の知人からの情報、SNSでの偶然の発見、相手のスマートフォンを見た時の偶然の表示、相手のご家族からの連絡など。これらは、確たる事実というよりは、強い疑念を生むきっかけです。本当に妻帯者なのか、もし妻帯者であれば、その婚姻関係がいつから続いているのか、お子様を授かった時期と婚姻関係の時期がどう重なるのか。事実関係の確認が、まず必要になります。調査会社の役割として、相手の方の戸籍上の身分関係を直接調べることは、原則としてできません。けれども、相手の方の生活実態(自宅とされる場所での生活、ご家族の有無)を観察することで、ご家庭の存在を間接的に確認することは可能な場合があります。法律実務上の身分関係の確認は、弁護士の先生のご助力のもとで、正規の手続きを経て行われることになります。
婚姻関係の時期と「不貞行為」の論点
事実関係を整理する過程で、いくつかの法律実務上の論点が浮上します。相手の方が婚姻関係にあった時期と、ご依頼者との交際が重なっていた期間。これは、相手の方のご家庭の側からの慰謝料請求の可能性に関わる論点だと伺っています。ご依頼者が「相手の方が独身だと信じていた」場合と、「途中で気づいていた」場合での、法律的な扱いの違い。これも、法律実務の場面で論点となる可能性があると伺っています。お子様の認知と養育費の問題。これは、相手の方の婚姻関係とは別の論点として、お子様自身の権利に関わる手続きになります。これらの論点は、いずれも弁護士の先生のご判断と手続きが必要な領域です。
「相手の家庭からの慰謝料請求」への備え
このケースで最も依頼者を苦しめうるのが、相手の方のご家庭の側からの慰謝料請求の可能性です。相手の方の配偶者の方が、ご依頼者の存在を知った時に、相手の方の側に対しても、ご依頼者に対しても、慰謝料を請求してこられる場合があります。法律実務上、不貞行為の認定に関わる論点として整理されると伺っています。ご依頼者が「相手が独身だと信じていた」場合、いわゆる故意・過失の論点で、請求が認められない、あるいは減額される場合もあるようです。詳細は、必ず弁護士の先生にご相談ください。大切なのは、相手のご家庭から請求があった場合に、慌てて単独で対応しないことです。書面が届いた段階で、すぐに弁護士の先生にご相談いただきます。
お子様の認知と養育費
お子様の認知と養育費の論点は、相手の方が妻帯者であったかどうかとは別の、お子様ご自身の権利に関わる重要な問題です。相手の方が、お子様の生物学的な父親である場合、たとえご自身の家庭を維持されたとしても、認知の請求や養育費の請求は、別途進められる場合があると伺っています。これは、お子様の将来の生活を守るために、極めて重要な手続きです。前稿で触れた論点と同じく、必ず弁護士の先生のご助言のもとで進めます。ご自身の感情とは別に、「お子様のための手続き」として、冷静に進めていただく視点が大切になります。
ご依頼者ご自身の生活基盤を守る
このケースで、調査会社が直接お力になれる領域は限られていますが、ご依頼者の生活基盤を守るための情報整理は、お手伝いできる範囲です。ご依頼者ご自身の現在の住居、お仕事の状況、収入、お子様の養育環境、ご家族からの支援の可能性。これらを整理することで、これから取れる選択肢の輪郭が見えてきます。並行して、行政の支援制度の活用も、生活基盤を守る重要な手立てです。母子家庭への各種支援、児童扶養手当、医療費助成、保育料の減免、住宅支援など、お住まいの市町村でご利用いただける制度があります。
心のケアの専門家との連携
このケースは、ご依頼者の心に深い傷を残します。信頼していた相手に裏切られた事実、自分が知らないあいだに別の家庭の侵害者の立場に置かれていた事実、お子様の将来をお一人で支えていかなければならない現実。これらが重なって、心の負担が極めて大きくなります。心のケアの専門家にご相談いただくことを、強くお勧めしています。臨床心理士、公認心理師、精神科医、女性のための相談窓口、母子相談の窓口など、お住まいの地域に複数のご相談先があります。
お子様への伝え方
お子様への伝え方も、いずれは向き合うべき重い問題です。すぐに伝える必要はありません。お子様の年齢、ご依頼者ご自身の心の準備、お子様を支える環境の整い方によって、伝える時期と方法は変わってきます。専門家のなかには、こうしたデリケートな問題のお子様への伝え方について、ご相談に乗ってくださる方もいらっしゃいます。臨床心理士や、子どもの心理に詳しい専門家のご助力を得ながら、お子様にとって最も負担の少ない形で進めていただくことをお勧めします。
結びに
妊娠・出産後に「妻帯者だった」と判明したケースは、ご依頼者の人生に深い傷を残す経験です。けれども、事実関係の確認、法的な手立て、行政の支援、心のケア、お子様への対応など、それぞれの領域で専門家と連携しながら、一歩ずつ進んでいける道は必ずあります。ご依頼者の強さに敬意を感じています。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
-
認知してくれない・養育費を出してくれない ─ 法的な手立てと調査の役割
ご相談のなかでも特に深く心を痛めるのが、お子様の父親とされる方が、認知も養育費の負担も拒否されているケースです。お腹に宿った命を大切に守り、出産まで一人で乗り越えてこられた。それなのに、お子様の父親とされる方は、認知を拒み、養育費の負担からも逃れようとしている。ご依頼者ご自身も、お子様の将来も、不安定なまま放置されている。
2001年からこの仕事を続けるなかで、こうしたご相談を受けるたびに、強い無念さを感じてきました。本稿では、認知や養育費をめぐる問題に直面された方が、どのような選択肢を持ち、調査会社がどのような役割を果たせるかについてお伝えします。本稿は調査会社の側から見た一般的な視点としてご理解ください。具体的な手続きと判断は、必ず弁護士の先生にご相談ください。
「認知」という法的な手立て
法律上、結婚していないお二人のあいだに生まれたお子様について、お父様とされる方との法的な親子関係を確立するための制度が、「認知」と呼ばれる手続きです。認知が行われると、法的にお子様の父親が確定し、養育費の請求、相続権、扶養義務など、さまざまな法的な関係が成立すると伺っています。認知には、自発的に役所に届出を行う「任意認知」と、応じない場合に家庭裁判所などの手続きを通じて行う「強制認知」「認知の訴え」があると理解しています。手続きの詳細は、必ず弁護士の先生にご相談ください。
認知の手続きに必要な事実関係
認知を求める手続きでは、お父様とされる方とお子様のあいだの生物学的な親子関係を示す事実関係が、重要な論点になります。ご依頼者とお父様とされる方が、お子様を授かった時期に交際関係にあったこと。その時期に関係があった可能性が高いこと。お父様とされる方がご依頼者やお子様の存在を認識していたこと。これらが、調査によって示される事実関係として、法律実務の場で重要になることがあります。調査の側からできることは、お二人の交際の事実を示す写真や記録、当時の生活パターン、出生前後のやり取りの記録などの収集と整理です。DNA鑑定の取り扱いは、私たちの専門領域を超えますので、必ず弁護士の先生のご助言のもとで進めていただきます。
養育費請求と調査の関わり
認知が成立した後、あるいは婚姻外で出生されたお子様について、お父様とされる方に養育費を請求する手続きが進められます。養育費の金額は、お父様とされる方の収入、ご依頼者の収入、お子様の人数や年齢などに基づいて、家庭裁判所などの場で算定されることが多いと伺っています。調査会社の側からできることは、お父様とされる方の収入や生活水準を示す状況証拠の収集です。勤務先での働き方、生活水準、所有されている資産の輪郭など、外形的に観察できる範囲の情報を整理します。ただし、信用情報や金融資産の詳細な調査は、私たちの権限外です。これらは、法律実務の手続きのなかで、財産開示の手続きなどを通じて確認されることになります。
「逃げている相手」を見つけるための調査
認知や養育費の請求の前提として、まずお父様とされる方の所在を把握する必要があります。連絡が取れなくなっている、引っ越しをして所在不明、勤務先を変えて連絡が取れない、母国に帰ってしまった可能性がある。こうした「逃げている相手」を見つけるための調査が、最初の段階で必要になることがあります。行方調査は、当事務所の重要な専門領域のひとつです。ご依頼者から伺える情報を起点に、現在の所在を絞り込んでいきます。ただし、相手が意図的に隠れている場合、調査には時間がかかることがあります。海外に出国されている場合、国内の調査だけでは追えないこともあります。これらの現実的な見通しを、ご依頼者と共有しながら進めます。
「お子様のため」に、早めに動く
認知の請求や、養育費の請求には、それぞれ法律実務上の期限や時効の論点があると伺っています。詳細は、必ず弁護士の先生にご確認ください。特にお伝えしておきたいのは、「お子様のために、早めに動くこと」が、結果として最善の道になることが多いということです。時間が経つほど、相手方の所在の特定が難しくなり、事実関係の証明も難しくなります。ご無理のない範囲で、できるだけ早い段階での専門家への相談をお勧めします。弁護士のなかには、初回相談を無料で受けてくださる方、女性や子どもの問題に詳しい先生、母子家庭の支援に詳しい先生もいらっしゃいます。お住まいの地域の弁護士会、法テラスなどでも、ご相談先のご紹介を受けられます。
行政の支援制度を併せて活用する
法律実務の手続きと並行して、行政の支援制度の活用も、依頼者の生活基盤を支える重要な選択肢です。児童扶養手当、ひとり親家庭への医療費助成、母子家庭への住宅支援、お子様の保育料の減免、就学支援、各種の経済的支援。これらは、お住まいの市町村の窓口でご相談いただけます。つくば市、土浦市、牛久市、龍ヶ崎市、守谷市など、周辺の各市町村にも、専門の相談員の方が対応してくださる窓口があります。お一人で制度を調べる前に、まず窓口でご相談いただくことで、ご自身に利用できる制度の全体像が見えてきます。
「自分のせいではない」と確認する
最後にもう一度、お伝えしたいことがあります。認知も養育費も拒否しているお父様とされる方の選択は、その方ご自身の責任です。ご依頼者の側に、いかなる落ち度もありません。「自分が結婚していなかったから」「自分が見極められなかったから」と、ご自身を責めないでください。子どもを大切に育てておられること、ここまで懸命に守ってこられたこと、これらすべてが依頼者の誇るべきお姿です。ご自身を責める時間とエネルギーを、お子様のため、ご自身の将来のために向けてまいりたい。法律実務、行政の支援、心のケア、調査会社のサポート。それぞれの専門領域が、ご依頼者の歩みを支える土台になります。
結びに
認知してくれない、養育費を出してくれない、というご相談は、ご依頼者にとって最も深く傷つく経験のひとつです。けれども、法的な手立ても、行政の支援も、調査会社の役割も、ご依頼者の選択肢として確かに存在しています。お一人で抱え込まず、複数の専門家と連携しながら、お子様とご自身の未来を、一歩ずつ整えていきましょう。まずはご相談ください。