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「やり直し案件」とは ─ 業界経験者の視点から
業界経験者として、二十五年事業を続けてきて、確かに感じることがあります。「やり直し案件」と呼ばれる、他事務所から流れてきた依頼者の方の数が、決して少なくないということです。業界の構造的な問題が、こうしたやり直し案件の根本にあります。
「やり直し」の典型的な経緯
やり直し案件として当事務所にお越しになる方々の経緯には、いくつかのパターンがあります。最初の事務所で調査が不発に終わった、報告書の品質が想定と違った、費用と結果が見合わなかった、相談時の対応に不信感が生まれた、契約後に想定外の追加請求があった。それぞれの背景は違っても、共通しているのは「一度経験された上で、再びご相談に来てくださった」という事実です。
依頼者の方の心情の特徴
やり直し案件で当事務所にお越しになる依頼者の方は、独特の心情を抱えていらっしゃいます。最初に依頼された時とは違う、特別なお気持ちで、当事務所にお越しになります。期待半分、警戒半分。「今度こそ」という思いと、「またうまくいかないかもしれない」という不安。この二つの感情を同時に抱えながらドアを開けてくださる依頼者の方を、私たちはまず受け止めるところから始めます。
やり直しの構造的な難しさ
やり直し案件は、最初の依頼よりも、構造的に難しい案件です。対象者がすでに警戒している可能性がある。前回の調査でご依頼者の方の予算と時間が消費されている。心理的にも疲弊されている。そして、「今度こそ」という期待に応えなければならない。これらが重なって、最初の依頼よりも対応の難易度が大きく上がります。だからこそ、業界経験者として、地に足を着けた対応が求められます。
やり直しを率直にお引き受けする姿勢
当事務所では、やり直し案件を、率直にお引き受けしてきました。「やり直し案件は、難しいから受けない」という事務所もあります。当事務所は、こうした方々こそ、丁寧に対応すべきだと考えています。一度失望された方が、もう一度別の事務所のドアを叩くまでに費やされた時間と気力を、まずは尊重したい。その姿勢が、やり直し案件への向き合い方の出発点です。
業界全体の課題として
業界経験者として申し上げますと、やり直し案件が業界に一定数存在することは、業界全体の課題でもあります。品質に課題のある事務所、誇大な広告で依頼者の方を引き寄せる事務所、適切な対応ができない事務所。こうした事業者が混在していることが、構造的な問題の一面です。業界全体の透明性を上げていくことで、やり直し案件そのものを減らしていく。これが、長期的な目標です。
やり直しを当事務所が引き受けてきた理由
当事務所が、やり直し案件を、これまで引き受けてきた理由を整理します。「最初の事務所選びで失敗した方」は、ご自分を責めていらっしゃることが多いものです。その方々を、もう一度立て直す手助けをすることが、地場の事務所としての役割だと考えています。誠実に対応する事務所がここにある、ということを、地域で示し続けることにも意味があります。
業界経験者だから、立て直せる
やり直し案件を立て直すには、業界経験者の力が必要です。新規開業の事務所では、こうした立て直しが難しい場面があります。業界の中で長く続けてきた事務所だからこそ、できる役割があると考えています。2001年から続けてきた蓄積(業界の構造の理解、品質への観察、対象者の心理への理解、依頼者の方の心情への配慮)が、やり直し案件の立て直しに動員されます。
すべてを立て直せるわけではない
業界経験者として、率直にお伝えしておきます。すべてのやり直し案件を、当事務所で立て直せるわけではありません。対象者の警戒度がすでに極めて高い場合、前回の調査から時間が経ちすぎている場合、ご依頼者の方の心身の状態に十分な余裕がない場合。こうした要素が重なると、立て直しの難易度がさらに上がります。「お引き受けします」と安請け合いをすることは、しません。率直に難易度をお伝えした上で、ご依頼者の方が判断されるのを支えます。
「諦めないでください」のメッセージ
やり直し案件でお越しになる方々に、最後にお伝えしたいことがあります。諦めないでください。一度の経験で、すべての可能性が閉ざされたわけではありません。業界の中で、やり直し案件を率直に受ける事務所として、これからも続けてまいります。
結びに
やり直し案件は、業界経験者として向き合うべき大切な領域です。長くこの仕事を続けてきた者だからこそ、できる役割があると感じています。本カテゴリでは、やり直し案件の構造と、当事務所の向き合い方を、引き続きお伝えしてまいります。