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  • 相続・遺産分割をめぐるご相談 ─ ご家族の関係が問われる時

    ご親族の間で起きるトラブルのなかでも、特にご相談が多いのが、相続と遺産分割をめぐるお話です。ご家族の方がお亡くなりになり、相続の手続きが始まる。あるいは、まだ生前のうちから、相続のことが心配でならない。これらの場面で、ご親族の関係がにわかに難しくなる、というご相談を、長年お受けしてきました。

    2001年からこの仕事を続けるなかで、相続にまつわるご相談は、お金の話だけではなく、ご家族の長年のお気持ちが交差する、繊細な領域だと感じています。本稿では、相続をめぐるご相談の入口について、調査会社の視点からお伝えします。

    相続がご家族の関係を表に出す

    長年穏やかに過ごしてこられたご家族の方々が、相続の場面でにわかに対立してしまう、というお話を伺うことがあります。「兄弟仲は良かったはずなのに、相続の話になったら態度が変わってしまった」「親が元気な間は問題なかったが、亡くなった途端に親族の関係がぎくしゃくしてきた」「遺産の分け方をめぐって、思いもよらない発言が出てきた」。これは、必ずしもご家族の方々の人柄に問題があったわけではありません。相続という場面が、ご家族の長年のお気持ち、過去の経緯、ご親族間の関係性のなかにあった微妙なバランスを、表に出してしまう構造を持っているのです。「親が元気な頃に、自分は介護をたくさん引き受けてきた」「長男だから、特別な扱いがあって当然だ」「兄弟のなかで、自分だけ親から十分な援助を受けてこなかった」というような、それぞれの方が抱えてきたお気持ちが、相続の場面で噴出してまいります。

    相続人の所在が分からない場合

    相続人の方の所在が、ご家族の側で分からなくなっているケースがあります。長年連絡が途絶えていた兄弟、過去のご結婚で別れた配偶者の方とのあいだのお子様、認知されたお子様、長年海外にいらっしゃる親族など、所在の確認が必要なケースがあります。法律実務上、相続の手続きを進めるには、すべての相続人の方の同意、あるいはすべての相続人の方を関係者として含む形での手続きが、必要になります。所在が分からないままでは、相続の手続きが進まないのです。この場面で、調査会社による行方調査が活用される場合があります。当事務所は、弁護士の先生、司法書士の先生からのご紹介で、相続人の方の所在調査をお引き受けすることがあります。法律実務の手続きを支える、事実関係の確認の役割です。

    遺言書の有無の確認

    相続の手続きで、もうひとつ重要なのが、遺言書の有無の確認です。お亡くなりになった方が、生前に遺言書を作成しておられた場合、相続の方法が遺言書の内容に従って進められることが一般的です。遺言書がない場合は、法定相続分による分割、あるいは相続人の方々の話し合いによる分割になります。遺言書には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言などの形式があります。それぞれに、保管の方法と確認の手続きが異なります。ご家族の方々が「遺言書があるかどうか」を確認できないまま、相続の手続きを進めようとされるケースがあります。法務局の遺言書保管制度の活用、公証役場での確認、ご自宅の書類の整理などを通じて、遺言書の有無を確認していただきます。調査会社の役割は、こうした遺言書の確認そのものではなく、ご親族の方々の所在の確認、過去の経緯の整理など、間接的なお手伝いです。

    遺産の調査

    相続の場面で、ご家族の方々がご相談されるもうひとつの領域が、遺産の調査です。お亡くなりになった方がお持ちだった財産。預貯金、不動産、有価証券、生命保険、骨董品やコレクション、貸付金、知的財産権など、財産の所在と内容を、相続人の方々が把握する必要があります。ご家族の方々が、お亡くなりになった方の財産の状況を、十分に把握しておられないことが、しばしばあります。「自宅以外にどんな財産があったのか分からない」「銀行の口座がどこにあるか把握できていない」「過去の不動産の処分の経緯が分からない」。遺産の調査の中心は、弁護士の先生、司法書士の先生、税理士の先生、相続専門のコンサルタントなど、専門家のご担当領域です。調査会社の役割は、必要に応じて、ご家族の方々の生前のお話の整理、関係していた方々からの一般的な情報の収集、不動産の現場での確認などを、間接的にお手伝いすることです。

    「特別な事情」を整理する

    相続の場面で、ご家族の方々のあいだに「特別な事情」がある場合、調査が活用されることがあります。たとえば、生前にお亡くなりになった方が、特定の親族に対して大きな贈与や金銭的な援助をしておられた場合。あるいは、特定の親族が、お亡くなりになった方の介護に長年携わってこられた場合。これらは、相続の場面での「特別受益」「寄与分」の論点に関わります。ご家族の方々の主張だけでは、こうした事情の客観的な確認が難しいことがあります。これらの事実関係を、客観的に整える作業が、調査会社のお手伝いできる領域です。弁護士の先生のご助言のもとで、調査の組み立てを進めます。

    「ご家族の感情」と「法律実務」を分ける

    相続のご相談で、ご家族の方々から伺うお話のなかには、感情的なお気持ちと、法律実務上の論点が、混在していることが多くあります。「兄が生前から両親に意地悪をしていた」「妹が両親のお金を勝手に使っていた」「弟が両親の財産を独り占めしようとしている」。こうしたお話のなかには、ご家族の方の長年のお気持ちと、客観的な事実関係の両方が含まれます。調査会社の役割は、こうしたお話のなかから、客観的に確認できる事実関係を、丁寧に整えることです。感情的なお気持ちそのものに踏み込むことはありません。法律実務の場面では、客観的な事実関係に基づいた主張が、相続の判断を支えます。ご家族の方々のお気持ちは、心のケアの専門家、家族療法の専門家との連携のなかで、別途整理していただく領域です。

    結びに

    相続・遺産分割をめぐるご相談は、相続が家族の関係を表に出す構造、相続人の確認、相続人の所在の確認、遺言書の有無、遺産の調査、特別な事情の整理、ご家族の感情と法律実務を分ける視点。これらすべてが、案件の論点です。長くつくばで仕事を続けてきて、地域のご家族の相続のご相談を、丁寧に受け止めてきました。ご家族のなかで、相続の話が始まっている、あるいはこれから始まろうとしている段階で、何かしらの不安をお感じになった場合、まずはご相談ください。法律実務の専門家との連携のなかで、ご家族の関係を守りながら、必要な事実関係を整えるお手伝いをしてまいります。

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