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男性被害者を支える専門家連携 ─ 男性が相談しにくい構造への対応
ここまでの記事では、男性のご依頼者が深く傷つかれるさまざまなケースについて、調査会社の視点から整理してきました。本稿では、こうしたケースで、男性のご依頼者を支える専門家のネットワークと、つくば近辺で活用できる相談窓口について、整理してお伝えします。
2001年からこの仕事を続けるなかで、男性のご依頼者には、女性のご依頼者とは違う形での「相談しにくさ」があると、繰り返し感じてきました。本稿は、その相談しにくさを乗り越えて、必要な支援に繋がっていただくための、地図のような役割を果たせれば、と考えています。
男性が「相談しにくい」構造
男性のご依頼者から、よく伺うお話があります。「男のくせに、こんなことで相談していいのか」「男はもっと強くあるべきだと思っていた」「妻に裏切られたなんて、人に話せない」「友人にも家族にも言えない」。こうしたお気持ちが、相談への一歩を遠ざけてしまうことが多くあります。これは、社会のなかに残る「男性は感情を表に出すべきではない」「男性は自分の問題は自分で解決すべき」という、古い性別役割の影響でもあります。けれども、痛みは性別を問わず人間共通のものであり、相談することに性別による優劣はありません。男性も女性と同じく、傷つき、悩み、支援を必要とします。「男性だから一人で抱えなければならない」という思い込みを、まず手放していただくことから、すべては始まります。
弁護士の先生との連携
男性のご依頼者の場合も、調査結果を実際の手立てに結びつけるためには、弁護士の先生のお力添えが欠かせません。慰謝料請求、離婚協議、財産分与の準備、親権をめぐる協議、相手方への請求、配偶者からの不当な請求への対抗。これらすべてが、法律実務の専門領域です。男性のご依頼者の特有の論点として、財産分与の場面でご自身の稼ぎの貢献度がどう評価されるか、親権をめぐる協議で父親の立場がどう扱われるか、お子様との面会交流をどう確保するか、などがあります。近年は、男性側の権利擁護に詳しい弁護士の先生も増えてきました。茨城県弁護士会の法律相談、お住まいの市町村の無料法律相談、法テラスの民事法律扶助制度などを通じて、ご相談いただけます。
男性のための心のケア
男性のご依頼者にとって、心のケアの専門家へのご相談は、特に意義の大きい選択肢です。「男性は感情を抑えるべき」という社会的な圧力のなかで、ご自身の感情と長く向き合えずに過ごしてこられた方が少なくありません。専門家との対話のなかで、ご自身の中の感情を言葉にしていく過程は、ご依頼者の心を整える大切な時間になります。臨床心理士、公認心理師、精神科医、心療内科医など、さまざまな専門家がいらっしゃいます。「男性が相談しやすい」と感じられる専門家を選ぶことが大切で、男性の専門家、男性のクライアントの対応に慣れた専門家を探されると、ご相談が進めやすい場合があります。つくば市と周辺地域には、心のケアを担うクリニックやカウンセリングルームが複数あります。
父親としてのお子様との関係を支える
男性のご依頼者にとって、特に大切なのが、父親としてお子様との関係をどう支えていくか、という視点です。不貞関係や離婚協議のなかで、お子様との関係に不安を感じられるご依頼者が少なくありません。「離婚したら子どもと会えなくなるのではないか」「子どもの父親としての立場が弱くなるのではないか」「自分が父親であることをお子様にどう伝えればよいのか」。これらの不安に対しては、家事事件に詳しい弁護士の先生、家族療法の専門家、お子様の心理に詳しい専門家のご助力を得ながら、対応します。お子様との面会交流の取り決め、共同養育に近い形の検討、お子様にとっての父親の存在を維持する仕組みづくり。「父親としての関係は、続けたい」というご意志が、何よりも大切です。これを支えるための専門家の連携が、つくば近辺にも整いつつあります。
ひとり親(父子)家庭への支援
調査結果を踏まえて、男性のご依頼者がお子様を引き取って育てていくご判断をされる場合、ひとり親家庭(父子家庭)への各種支援制度の活用が重要になります。児童扶養手当(父子家庭にも適用されます)、ひとり親家庭医療費助成、保育料減免、就学支援、住宅支援、各種の経済的支援。これらは、母子家庭だけでなく父子家庭も対象とした制度です。近年、父子家庭が利用できる制度の整備が、徐々に進んできました。お住まいの市町村のひとり親家庭の相談窓口で、利用できる制度のご案内を受けられます。つくば市、土浦市、牛久市、龍ヶ崎市、守谷市など、周辺の各市町村にも、ひとり親家庭の相談窓口があります。担当の相談員の方が、男性のご依頼者にも丁寧に対応してくださいます。
男性のための相談窓口
茨城県内には、男性のための相談窓口も、徐々に整備されてきました。男性電話相談、男性のためのDV被害相談窓口、男性のための心の相談、父子家庭のための相談窓口など。これらは、男性が抱える特有の悩みについて、専門的に対応してくださる窓口です。「DVの被害者は女性だけだ」というステレオタイプもまだ社会に残っていますが、実際には男性が配偶者からの精神的・経済的・身体的なDVの被害者になるケースも少なくありません。こうしたお悩みも、専門の窓口で受け止めていただけます。ご相談先の探し方が分からない場合、市町村の総合相談窓口、保健センター、社会福祉協議会、男女共同参画センターなどで、適切な相談先のご案内を受けられます。
「男としての面子」を超えるために
最後に、男性のご依頼者にお伝えしたいことを書き留めておきます。「男としての面子」を守りたいというお気持ちは、自然なものです。けれども、面子を守ろうとして、お一人で抱え続けてしまうことが、長い目で見て最も依頼者を消耗させてしまいます。心と体の健康、お子様との関係、生活基盤、社会的活動。これらすべてが、お一人で抱える時間が長くなるほど、傷ついてきます。相談することは、弱さの表れではありません。むしろ、ご自身の人生とご家族の未来を守るための、積極的な選択です。長く現場で見てきて、相談に踏み出された男性のご依頼者ほど、その後の人生を強く立て直しておられます。最初の一歩は、私たち調査会社の窓口でも、市町村の相談窓口でも、信頼できる方へのお話でも、どこでも構いません。
結びに
男性のご依頼者を支える専門家のネットワークは、ご自身で全部を組み立てる必要のあるものではありません。一つの窓口にご相談いただければ、そこから他の必要な窓口への橋渡しが進んでいきます。私たち調査会社も、その入口の一つです。調査の有無に関わらず、まずはご相談いただき、そこから必要な専門家へのお繋ぎを進めることもできます。つくばと周辺地域の支援の輪が、少しずつ広がってきたことを実感しています。男性のご依頼者も、女性のご依頼者と同じく、相談を必要としていらっしゃる。お一人で抱え込まず、まずはどこかに、ご相談ください。