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  • 妊娠・出産後に彼が「逃げた」ケース ─ 行方調査と法的対応

    妊娠を伝えた途端、あるいは出産が近づいた途端、相手の方が連絡を絶って姿を消す。出産後しばらくは連絡があったが、次第に途絶え、行方が分からなくなる。こうしたケースで取り残されるのは、お子様とご依頼者の二人です。お子様の認知も養育費も、肝心の相手と連絡が取れないままでは、何も進められない。先の見えない不安のなかで、ご依頼者は日々の育児を支えなければならない。

    2001年からこの仕事を続けるなかで、こうしたご相談を伺うたびに、ご依頼者の置かれた状況の重さに、深く向き合ってきました。本稿では、相手が姿を消したケースで、ご依頼者がどのような選択肢を持ち、調査会社がどのような役割を果たせるかについて整理してお伝えします。

    「姿を消した相手」を諦めない

    ご依頼者が最初に直面される困難が、「もう諦めるしかないのではないか」というお気持ちです。連絡が取れない、住所が分からない、勤務先も変えられた、SNSもブロックされた。手がかりが何もないまま時間が経ち、「相手を見つけることは不可能なのではないか」と思い詰めてしまう。

    けれども、まず「諦める必要はない」とお伝えしています。相手の方が日本国内にいらっしゃる限り、ご家族の存在、生活の痕跡、勤務先や活動の手がかりは、必ずどこかに残っています。これらを丹念に辿ることで、現在の所在を絞り込んでいくことは、多くの場合可能です。行方調査は、当事務所の重要な専門領域のひとつです。決定打となる情報が手元になくても、ご依頼者から伺える小さな手がかりを積み上げていくことから始めます。なお、具体的にどの手がかりからどう絞り込むかは、当事務所の経験そのものですので、ここでは詳細を控えます。

    海外に出ている可能性への備え

    行方を絞り込む過程で、相手の方が日本を離れて海外に出ている可能性が浮上することもあります。仕事の都合で海外駐在になった、出身国に戻った、別の国に渡った。こうした場合、日本国内の調査だけでは追えなくなる場面があります。海外に出ていらっしゃる可能性が高い場合、弁護士の先生のご助力のもとで、出入国記録の取り寄せなど、法律的な手続きを通じた確認に進むことが現実的な道筋になります。

    居所が見つかった後の「最初の動き」

    相手の方の現在の所在が絞り込まれた後、ご依頼者の側からどのように動くかが、次の重要な判断になります。ご依頼者ご自身が、相手の方に直接連絡を取ったり、自宅を訪ねたりすることは、原則としてお勧めしません。長く逃げ続けてきた相手の方は、ご依頼者からの接触に対して、さらに態度を硬化させる可能性があります。また、ご依頼者の側にも、感情的な負担と法律的なリスクが伴います。弁護士の先生からの内容証明郵便を、最初のご連絡として送るのが、実務上の標準的な道筋になります。「お子様の認知と養育費について話し合いを求める」「期限を区切って回答を求める」という形で、法律実務の枠組みのなかで連絡を始めます。これにより、相手の方も「ご依頼者が法的手続きに進む意思がある」ことを理解し、応答せざるを得なくなることが多くあります。

    認知請求の手続きへ

    相手の方が話し合いに応じない場合、認知請求の法的手続きに進むことになります。家庭裁判所での認知の調停、調停が成立しない場合の認知の訴え。これらは、お子様と相手の方のあいだに法的な親子関係を確立するための、正式な手続きです。調査会社の側からは、相手の方とご依頼者の交際の事実、お子様を授かった時期、相手の方がお子様の存在を認識していたことを示す資料(過去のやり取り、写真、共通の知人の証言など)の整理を、お手伝いできる範囲でいたします。最終的な手続きの進行は、弁護士の先生のご担当です。私たちは、調査と書類整理の専門家として、法律実務を支える素材を整える役割を果たします。

    養育費の確保と回収可能性

    認知が成立した後、養育費の請求と、実際の回収の問題に進みます。養育費の金額の算定、支払い方法の合意、合意できない場合の家庭裁判所での審判。これらは、法律実務の専門領域です。そして、判決や審判で金額が決まっても、相手の方が実際に支払うかは別の問題です。お給料からの天引き、預金の差押え、各種の強制執行の手続きが必要になる場合があります。相手の方が再び姿を消す、勤務先を変える、財産を隠す。こうした事態に備えて、相手の方の現在の経済状況と動きを継続的に確認することも、調査会社の役割となる場合があります。長期にわたって、お子様の将来を支えるための仕組みを、複数の専門家と一緒に組み立てていきます。

    「養育費保証」「立替制度」の活用

    最近では、養育費の支払いが滞った場合に備えた、養育費保証のサービスや、自治体による養育費の立替制度なども、徐々に整備されてきました。養育費保証は、民間のサービスとして、養育費の支払いが滞った場合に、保証会社が立て替えて支払い、後で相手の方から回収するという仕組みです。利用には一定の条件や費用があります。自治体による立替制度は、お住まいの市町村によって整備状況が異なります。これらの制度について、お住まいの市町村の福祉課や、母子相談の窓口でご相談いただけます。

    行政・福祉の支援との並行

    行方の特定や認知の手続きと並行して、ご依頼者ご自身とお子様の現在の生活を支えるための、行政の支援制度の活用が極めて重要になります。児童扶養手当、ひとり親家庭医療費助成、保育料減免、就学支援、住宅支援、各種の生活支援。これらは、お住まいの市町村の窓口でご相談いただけます。法律手続きには時間がかかります。その間、お子様の生活が滞ってしまわないよう、活用できる支援はすべて活用していただきたい、というのが、私たちの願いです。

    「諦めなければ、道はある」

    最後に、本稿で最もお伝えしたいことを書き留めておきます。相手の方が姿を消した時、ご依頼者は最大の絶望を感じられます。けれども、長くこの仕事を続けてきて、「諦めなければ、必ずどこかに道がある」と申し上げられます。行方調査の専門家、家事事件に詳しい弁護士の先生、行政の支援窓口、心のケアの専門家。これらの方々が、ご依頼者の歩みを支える土台になってくださいます。お一人で全部を抱える必要はありません。それぞれの専門家に、それぞれの役割を担っていただきながら、お子様の将来とご自身の生活を、一歩ずつ整えていきます。時間はかかるかもしれません。けれども、確実に前に進める道は、必ず開けてきます。

    結びに

    妊娠・出産後に相手が姿を消したケースは、ご依頼者にとって最も困難な状況のひとつです。行方の特定、認知の請求、養育費の確保、ご自身とお子様の生活基盤。すべてが同時に課題として迫る、過酷な時期です。長くつくばで仕事を続けてきた者として、こうしたご相談に、誠実に向き合います。お一人で抱え込まず、まずはご相談ください。複数の手立てを組み合わせて、必ず道を開いていきましょう。

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